B! ゴロビシャ ネメシスの使い魔

【要約】自分を変える習慣力 著者 三浦将

自分を変える習慣力
 

自分を変える習慣力 Business Life

著者
三浦将

要約
 

「英語の学習を続ける」「禁煙をする」など良い習慣を身に付けようとしても、なかなか続かないことは多い。特に、忙しさやストレスが多い環境に置かれていればなおさらだ。では、続かない原因は何だろうか?様々な研究によれば、それは「潜在意識」にある現状維持欲求が、新しい習慣にストップをかけているからである。
だとすれば、良い習慣を身に付けるには、根性ではなく「潜在意識」を活用することが必要となる。本書では、そうした潜在意識の力とセルフコーチングのスキルを用い、良い習慣を身に付けるための科学的手法を解説する。著者は、元冬季オリンピック日本代表選手や経営者などにもコーチングを行う、コーチングのプロフェッショナル。

例えば著者は、日記をつける、運動をするなど小さくてもいいからスイッチとなる習慣をまず1つ身に付けることを勧める。そうすれば、他の良い習慣も連鎖的に習慣化することができるようになるからだ。もちろんこの手法はあらゆる習慣づくりに応用できるものだ。

本書では仕事習慣から、心身の健康、マネジメント、コミュニケーションに対する良い習慣まで、特別なスキルを必要とせず、人生をより良いものに変えるヒントを多数解説している。これまで根性論で挫折してしまった方はもちろん、組織やメンバーに良い習慣を根付かせたい方もぜひご一読いただきたい。

要約

良い習慣を1つ始めると、悪い習慣すべてが変わる

オーストラリアの研究者ミーガン・オーテンとケン・チャンが行った実験では、被験者に2か月運動プログラムに取り組んでもらい、運動の習慣が付くことによる影響を調べた。

すると、運動を続けた被験者には、「衝動買いの頻度」「喫煙量」「飲酒量」「ジャンクフードの摂取量」「人との約束を果たした率」などで好ましい行動が増え、好ましくない行動の回数が減る傾向が顕著に表れ、意志の力、自制する力などの向上もハッキリと表れた。

2人はさらに、他の習慣でも、それがスイッチとなって、新たな良い習慣が身に付いたり、好ましくない習慣と縁を切ったりできるようになるかどうかの実験を繰り返した。結論は、家計簿を付ける習慣や勉強の習慣など、どんな習慣でも、同じように新たな良い習慣が身に付いたり、好ましくない習慣と縁を切ったりすることができるというものだった。

たった1つの良い習損を身に付けることによって、生活を向上させるための他の良い習慣が連鎖するように身に付いていく。これは、先ほどの研究の結果に加えて、私のメンタルコーチとしての経験からも確信を持って言える。

全てのことは、小さなアクションを起こすことから始まり、小さなアクションを毎回確実に実践すると、想定を超える成果を上げる。つまり、小さなアクションを起こし続けることが、やがて大きな変化をもたらすのだ。そして、良い習慣は簡単に身に付く。そのカギは、潜在意識についての理解と、メンタルコーチングのプロセスにある。

潜在意識を味方につける

ネットサーフィンなど、やめた方がいいとわかっていてもやめられないのは、日々の行動のほとんどが潜在意識に支配されているからだ。人は、自分の思考や意識で行動していると思っているが、そのほとんどは潜在意識のプログラムによってオートマチックに動かされている。

ネットサーフィンをだらだらとするのは、そのプログラムを潜在意識に持っているからだ。帰宅後の落ち着いた時間という状態になると(=入力)、プログラムが自動的に作動して、だらだらとネットサーフィンをする(=出力)という状態になるのだ。

潜在意識は自覚されることはないが、そのパワーは顕在意識の2万倍以上とも言われる。その大きな特徴の一つは、「安心安全第一で動く」ということだ。潜在意識の安心安全への欲求はとても大きく、基本、現状維持を続けるために働くため、いろいろなことを急に変えようとすると潜在意識の強烈な抵抗に遭う。

だから、習慣化を成功させるためには、この潜在意識の安全安心欲求をしっかり満たしながら進めることが肝心だ。習慣化が進むと、あまり努力しなくても続けられるようになり、やがて、意識をせずとも毎日続けている状態になる。習慣化とは、意志の力を使う要素を少なくし、自動化するということでもあるのだ。

習慣化の賢い始め方

頑張ったり無理をしすぎてはいけない
社会心理学者のロイ・バウマイスターの研究によれば、意志の力は消耗する。そのため、習慣化の初期段階では、なるべく意志の力を使うような状態にしないことが肝心だ。そして、さらに大事なことは「まずは1つのことに集中する」こと。つまり、一度にあれもこれも習慣化しようとしないことだ。

あれこれ複数同時に習慣化しようとすると、それだけ意志の力の消耗も激しくなる。仕事ですでにかなりの意志の力を使っていれば、複数の習慣をつくれるほど、その日の余力は残っていない。まずは、1つのスイッチになる習慣を徹底することが、成功への最速の道なのだ。

習慣化を達成するためには、頑張り過ぎない方がいい。世の中には、つい頑張り過ぎてしまう人がたくさんいるが、リラックスして臨むくらいが丁度いいのだ。三日坊主の人は、最初の3日間頑張り過ぎて、続けることが苦痛になってやめるケースがほとんどだ。

「頑張り過ぎない方がいい」というのには、理由がある。毎日やることが頑張るモードだと、やがてそれをやることが”苦痛の感情”と結び付く。苦痛の中で意志の力を使い過ぎると、継続することができなくなるのである。

ビジネスでの事業計画や、人生においての目標について、頑張らないと達成できないような目標を掲げるのは賛成だ。一方、習慣化の計画でこれをやってしまうと、長続きしない結果を迎えやすくなる。そして、失敗が度重なると、自己効力感と言われる「できる感」もどんどん落ちていく結果となってしまうのだ。

だから、習慣化の最初で大事なことは「成果を上げること」ではなく、「定着させること」。成果を上げることにはまったく期待しない、というスタンスが正解だ。ランニングなら、毎日10キロではなく、毎日1キロでも、300メートルでも、少し物足りない感じの方がむしろいいのである。

「もうちょっと走りたい」くらいの感覚で続けていると、走ることが”快の感情”と結び付く。そして、それに合わせ、自分のペースで2キロ、3キロと距離を増やしていけばいい。これが、潜在意識が安心している状態なのだ。

ティッピングポイント」を超える

例えば、新しいビジネスを始めるとする。最初は、知識も経験も少ないので、当然成果はなかなか出ない。それでも続けていると、徐々に成果は出るものの、満足のいくレベルまでには程遠い現実が続き、多くの人は、このあたりで辞めてしまう。

そんな中、何%かの割合で続ける人は出てくる。そして続けていくと、まわりに高い成果を出す人が出現し、自分が出している成果とのギャップに焦りを感じる。こんなことが続くと、また何%かが脱落する。それでも続けていると、やがて、あるポイントが訪れる。

それが、「ティッピングポイント」と言われるもので、そのポイントを超えると、急激に成果が出始める。費やす時間に対して成果が急上昇するのだ。芸能人やスポーツ選手が、「ブレイクする」のもこのポイントだ。その後は、2次曲線を辿るように、さらに急上昇する、これが「成長曲線」というものだ。

世の中の成功者とは、このティッピングポイントを超えるまでやり続けた人とも言える。習慣化のプロセスもこれに類似している。最初は成果が出ているかすら判らないが、続けていくことによって定着化が進み、やがてハッキリとした成果が出てくる。そして、このときにはすでにオートマチックに習慣を行っているので、さらに成果は上がっていくのだ。

スイッチとなる習慣の見つけ方
あなたが本当にしたいことは何か

スイッチとなる、最初に取り組むべき1つの習慣を見つける第1の質問は「そもそもあなたが本当にしたいことは何ですか?」である。あなた自身が腹落ちしている目的意識なしに習慣化に取り組んでも、心と身体の芯からの継続力が伴ってこないのだ。

今、この問いに答えられなくても、達成したら起こることをできるだけ具体的に、クリアにイメージすることが肝心だ。そして、イメージングをしながら次のステップに沿って、質問への回答を紙に書き込んでいく。これは、頭の中を見える化する大切なステップだ。

 

Step(1)今後取り組んでみたいと感じている習慣を1つ挙げてください。

 

Step(2)それを習慣化したいのは、何のためですか?

 

Step(3)その目的が達成できたとしたら、さらに何をしたいですか?

ステップ(3)の「さらに」を3回繰り返すと、直近レベルで達成したいことから、人生レベルで達成したいことぐらいまで、目的のレベルが上がっていくはずだ。そして、改めて「あなたが本当にしたいことは何ですか?」と自分に問うのだ。

この「本当にしたいこと」に到達することさえできれば、あなたの潜在意識は、すでに習慣化に向けてロックオンしている。仮に、明確に出て来なくても、何らかのヒントが出て来くる。何回もやるうちに明確になってくるので、ぜひこのステップを何度もやってみてほしい。

最高の目標のつくり方

「本当にしたいこと」が明確になったら、次にその達成のため、大事だと思われる習慣をあらためてピックアップする。複数の習慣が出揃ったら、最初にやる習慣を1つだけ決めてほしい。最初に取り組む習慣が決まったら、次にそれを具体的な毎日の目標にしよう。

目標設定のポイントは、「続けることに重点を置く」ことだ。続けられそうな毎日の小さな目標を設定したら、それができたかどうか明確にわかる目標であるかどうかをチェックしてほしい。具体的にやることや、実行タイミング、回数などが入っているとわかりやすい。

おすすめは、1日の終わりにメモ帳や日記帳に、どれくらいできたかを毎日書き残しておくことだ。世の中で成功している人の中には、日記を付けている人が多い。日々の行動を1日の終わりに振り返ることは、習慣化の促進を強く後押ししてくれるだろう。

また、習慣化の種類によっては、最も強力なやり方は「一緒に習慣化に取り組むパートナーを見つける」ことだ。ダイエットや運動、英語上達など、同じ目標を持つパートナーと一緒に進めていくことによって、やる気が高まり、中だるみなどを防ぐことができる。

経営者や、グループのリーダーの方は、会社ぐるみやグループ全体で、習慣化に取り組むやり方もおすすめだ。例えば、昼休みの20分程度のジョギングや、有志だけの朝食ミーティング、ダイエットや早起きの習慣など、みんなで促進できるアイデアはたくさんある。

ようこそ!名無し文学部へ
楽しんでいってください。