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「メアリー・スー テスト」その物語、作者の自己陶酔になってない?

物語が作者の自己陶酔に陥っていないか採点できる「メアリー・スー テスト」

主に二次創作で、もとの作品にはいないオリジナルキャラクターであるにも関わらず「優秀」「特別」が行きすぎたキャラクターのことを「メアリー・スー」と呼び、作者の自己陶酔に過ぎないと批判を受けることがあります。

自分で物語を紡いでいるときには自己陶酔に陥っていることに気付くことのは難しいものですが、作品の完成前に「Mary Suie(メアリー・スー)テスト」を行うと、自身の作品を見つめ直すことができるかもしれません。

Mary Sueテスト: 設問
https://iwatam-server.sakura.ne.jp/game/marysue/test.html

ちなみに私の結果はこちら

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見事にメアリー・スーではなかったです。

メアリー・スーとは?

メアリー・スー」という名前は、世界的人気を誇るSFドラマ・映画シリーズ「スター・トレック」の二次創作「A Trekkie’s Tale」に登場するオリジナルキャラクター「メアリー・スー大尉」に由来します。「A Trekkie’s Tale」がどういう話なのかは、筒井康隆SF小説「虚構船団」をマンガ化した「萌え絵で読む虚航船団」などで知られるカスガ氏によって日本語訳されています。

カスガ氏によるメアリー・スーの元ネタA Trekkie’s Taleの日本語訳 - Togetterまとめ
https://togetter.com/li/676503

カーク船長、Mr.スポック、Dr.マッコイ、Mr.スコットと登場人物みんなに気に入られ、危機に陥っても快刀乱麻の大活躍をするメアリー・スーは、原作の設定も、この物語自体もめちゃくちゃにしてしまっています。

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「A Trekkie’s Tale」の作者、ポーラ・スミス氏が描いたメアリー・スー

そのはちゃめちゃさは、この「A Trekkie’s Tale」という二次創作小説自体が、原作へのリスペクトなく作者の自己陶酔的オリジナルキャラクターを大活躍させる二次創作に皮肉を送る意味で書かれているためです。成立の経緯などについてポーラ・スミス氏が「Transformative Works and Cultures」のインタビューに答えた内容は、以下のリンク先で公開されています。

A conversation with Paula Smith | Walker | Transformative Works and Cultures
http://journal.transformativeworks.org/index.php/twc/article/view/243/205

この「A Trekkie’s Tale」のメアリー・スーから転じて、二次創作の中で作者の投影が強すぎるオリジナルキャラクターを登場させたり、原作の設定を踏み荒らすように好き勝手な展開を広げることを「メアリー・スー的」、あるいはキャラクターを指して「メアリー・スー」と、悪口として用いられるようになったようです。

ザ・中二病の物語

自分がものすごい能力を持っていてイケメンで、可愛いヒロインがいて、世界を救う…

そんなことを誰もが一度は考えることでしょう。

それを終わってるおっさん達がやっているのがなろう小説な訳ですが、いつの時代も老若男女問わず誰でも一度は考えるわけですよ。非常に普遍的な人間のサガというやつかもしれません。

だからこそ、他人の物語は多くの人を共感させ、同時に共感性羞恥を覚えるわけです。

メアリー・スー テスト

こうした「メアリー・スー」的なものに陥っていないかを調べる指標として、ハードSF好きだというiwatam氏が作成したテストが「Mary Sue(メアリー・スー) テスト」です。2004年12月に作られたものですが、10年以上経過した今でも問題なく通用する内容です。


表には「メアリー・スー」に陥る危険性を点数別に表示しています

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「0~24点」の場合は「このくらいは問題ないでしょう。誰の小説でも多少はあるものです」とのこと。


 
「25~60点」は「このテストをやっていて、自分でイタさを感じたでしょう。そしてなぜそう感じたかもわかるでしょう。それを直して、もっと客観的にものを見る癖をつけましょう。素人ほど小説を一人称で書いてはいけません」との注意喚起。


「61~90点」だと「『なんでこのテストは私が書いた小説のことを知っているのだろう?』と思いませんでしたか?あなたの小説はそのくらいオリジナリティというものに欠けているのです。しかし、本当に問題なのはオリジナリティのなさではありません。」というように、「メアリー・スーである」というより「よくある設定ばかりでオリジナリティに欠ける」と批判されます。


「91~124点」のコメントでは「このテストに引っかからないように意識して書いてみましょう。それができるようになった時、あなたは過去に自分の小説を全世界に向けて公開したことを後悔するでしょう」と、「あなたが今までに公開してきた作品は、ちょっと恥ずかしいものですよ」と示唆してきます。


「125~150点」のみなぜか箇条書き。「あなたの小説を読む人に、精神科医の役を押しつけないようにしましょう」「類は友を呼びます。放っておくと悪化するばかりです」「現実はあなたが思っているほど敵意に満ちてはいません」と遠回しな悪口が並んでいます。


 
「151点以上」では「これだけすべての要素を取り込めるとは、かえって尊敬に値します。あなた、わざとやっているんでしょう?」と感嘆の一言。「Mary Sue テストで151点を取ってみよう」という試みの内容を見てみると、とても151点は取れるようなものではないことがわかります。


狙って書いているのでもない限り高得点が出ることはないはずですが、設定の見直しを行う際には役立つことがあるかもしれません。

物語が作者の自己陶酔に陥っていないか採点できる「メアリー・スー テスト」 - GIGAZINE

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